2019年のIPO予定企業が出揃ったため、今年のIPO市場を振り返ってみたいと思います(以下の社数には、上場承認済みの12月上場予定企業も含まれています)。
- 2019年のIPO社数は合計で86社(※)でした。2018年のIPO社数は90社だったため、前年比で4社減少しました。
- 公募価格ベースでの時価総額のトップはSansanの約1,300億円でした。時価総額が1,000億円を超える上場はSansan 1社のみとなる見込みで、いわゆる超大型の上場は少ない年でした。
- ウイングアーク1st及びファンペップの2社は、上場承認後、両社からの申し出により、上場前に承認取り消しとなりました。
- 2017年にプロ向け市場であるTOKYO PRO Marketに上場したglobal bridge HOLDINGSが12月にマザーズへ上場します。TOKYO PRO Marketを経由しての上場は2社目となりました。
- 市場別ではマザーズが64社と圧倒的で、東証1部・2部が12社、JASDAQスタンダードが6社となりました。また、地方市場である福証本則、福証Qボード、札証アンビシャス、名証セントレックスにおいて、それぞれ1社のIPOがありました(重複上場は除いています)。
- 主幹事証券はSMBC日興証券と大和証券が20社で首位。野村證券17社、みずほ証券12社、SBI証券6社と続きました(社数は東証公表資料の「幹事取引参加者」の記載ベースで、共同主幹事として複数の証券会社の記載がある場合は全て加算しています)。
- 監査法人は新日本が22社で首位。次いでトーマツ21社、あずさ19社となっており、大手3法人で全体の約73%のシェアを占めています。ただ、前年の大手3法人によるシェア約83%と比較すると寡占率は低下しており、大手監査法人の受け入れ余力不足に伴って監査法人の裾野が広がっている可能性があります。
- 印刷会社についてはプロネクサスが44社、宝印刷が42社となりました。
- 証券代行機関については三井住友信託が35社で首位、次いで三菱UFJ信託32社、みずほ信託が15社となっています。
※TOKYO PRO Marketへ新規上場した9社を合わせると94社になります。当記事では、TOKYO PRO Marketへの上
場は社数から除いています。
現在、金融庁や東証において「市場構造の在り方」の検討が進められており、市場区分の再編も予定されています。それに伴い来年以降に上場基準などが変化する可能性もありますが、IPOを目指す企業の数は依然として高水準のため、来年のIPO市場も堅調になることが期待されます。
(関口)