私事ですが、今月サイクリングをしていたら、道路上の障害物かなにかにはまり、バランスをくずし転倒して怪我をしてしましました。幸い骨折はしていなかったのですが、右腕(利き腕)の靭帯を痛め全治約3週間程度となってしまいました。右腕が使えないので日常生活にはけっこう支障もあり、あらためて健康であることのありがたみを感じました。
また右腕が使えないことにより、キャッシュレス決済の便利さやテレワーク環境の進歩についても改めて実感できました。
このような怪我については健康診断で予防等ができるわけではないですが、日ごろからの健康管理という意味で企業における健康診断の実施については重要だと思います。
いわずもがなですが、労働安全衛生法66条1項では「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。」と定められています。健康診断の詳細については労働安全衛生規則43条及び44条に定められており、雇用時の健康診断および年1回の定期健康診断が必要とされ、健康診断項目についても規定されています。
また意外と盲点なのが労働安全衛生法66条5項に「労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。」と労働者側の受診義務についても定められている点です。かくいう私も監査法人時代に定期健康診断を受けていないと注意をうけたことがありますが、こういう法的な背景を理解できていなかったことが原因ですね。
上場準備会社では主幹事証券審査の前に労務DDを実施するケースが多いですが、特に設立間もないスタートアップの企業では、健康診断未実施についての指摘を受けるケースもちらほらみられます。理由としては、「そもそも健康診断の実施義務について理解していなかった」「理解していたがついおろそかにしていた」「従業員が比較的若いため従業員側が面倒で受けていない」等があると思います。健康診断については、法令違反リスクはもとより、従業員の健康リスクへの観点からもぜひ実施頂きたいと思います。
なお直近1年間の有価証券報告書を検索すると【事業等のリスク】に「健康経営」の推進について記載している会社は26社存在しました。特にベンチャー企業では一人ひとりにかかる役割期待も大きく、一定期間お休みしなければならないとなった場合事業推進に大きな影響を及ぼすリスクもあり、従業員の健康管理については十分留意頂きたいと思います。
(古川)