【関口】有事と平時

 5月の決算発表シーズンを終え、上場企業の2021年3月期の決算が出揃いました。

 2021年3月期は1年前の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、社会の大混乱と同時に始まった期でした。最初の緊急事態宣言の発令が2020年4月で、当時としては「2021年3月期は一体どれだけ酷い決算になってしまうのか?」という心境だったと記憶していますし、「今回はリーマンショックを超える大不況になる」という声も多く聞かれました。

 

 それから1年経ち、結果を見てみると、上場企業全体の決算としては「前年比で増益」という結果になったようです。勿論、業種によっては新型コロナウイルスにより大きな影響を受けて非常に厳しい決算内容になっている会社があり、会社によって明暗が分かれていますが、新型コロナウイルスの流行も収まっていない現状では「上場企業全体では増益」というのは予想外の好結果と言えます。

 

 上場企業全体では好調な結果となった要因としては金融緩和や経済政策の影響が大きいと思いますが、各社の決算発表を見ていると「コスト削減」や「経費削減」に取り組んだ、といった説明も目立ちます。実際、私の関与先の上場準備会社でも、経営陣の方のお話をお聞きしているとどの会社もこの1年間は危機対応として徹底したコスト削減を実行されていました。その結果、これまでに溜まっていた相当の無駄の排除ができ、想定していた以上に利益を出すことができた、という会社が複数あります。

 

 その削減努力と結果は称賛されることで、素晴らしいことだと思います。しかしその一方で、もし新型コロナウイルスの流行がなければそれらの無駄の削減には着手できていなかったかもしれず、本来不要な経費がずっと存在してしまっていた可能性もあるのではないでしょうか。そう考えると、今回のような大きな危機(有事)の時だけでなく、平時から無駄なコストがないかを意識することが大事であると感じます。

 

 上場準備会社の予算策定に関して言うと、IPOの上場審査において中計・予算の合理性を細かく確認されるため、時間をかけて予算策定を行うことになります。IPOを目指す成長企業であれば売上高については大きく増加していく計画を立てることが多いため、その増加の要因・根拠について上場審査できちんと説明できるように、売上高予算の数値やその妥当性は細かく作成・検討をしています。その一方で、経費については、売上高や人員数の増加に伴って増加するもの以外については、多くの費目に関して「前年実績と同額を予算値とする」といった策定方法をしているケースも多く見られます。

 

 上場審査視点ではそれらの経費が前年と同額であることが問題視されることは少ないため、大きな問題にはなりにくいのですが、経営視点で見ると別の話になります。どうしても予算策定時には売上の数値に意識がいきがちですが、経費にも同じくらいの意識を持ち、「本当に無駄な経費がないのか?削減できるものはないのか?」と精査することが大事ではないかと思います。常に今回のようなコスト削減意識を持ち、毎回の予算策定時にゼロベースで経費予算を策定することを続けることで、より筋肉質な会社を作ることができるのではないでしょうか。

 

関口

 

IPO社数の市場別内訳(TOKYO PRO Market以外)

2021IPO社数(予定を含む)=83 

2021

9月17日現在

上場

上場

予定

東証1

3

2

東証2

3

*1

マザーズ

*49

11

JASDAQ

*13

0

名証2

*1

*1

セントレックス

*1

0

Qボード

*2

0

合計

72

15

複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

 

(ご参考)2020IPO社数=93 

 

上場

上場

予定

東証1

6

0

東証2

9

0

マザーズ

63

0

JASDAQ

14

0

セントレックス

1

0

合計

93

0

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