【鈴木】新規上場基準の強化がもたらすIPO環境の変化と企業・証券会社・VCなどの動向

日本では取引所の再編を経て、市場区分の見直しが進められてきました。

この動きは既上場会社にとどまらず、新規上場会社の基準にも影響を与えています。

その結果、新規に上場を目指す企業だけでなく、地方取引所、証券会社、ベンチャーキャピタル(以下、VC)、PEファンドの動向にも変化が生じています。

 

このブログでは論点を新規上場基準、すなわち、基準の強化の観点から少しまとめたいと思います。

東京証券取引所はスタートアップ市場として位置づけられるグロース市場の基準をアップしました。これにより、グロース市場に上場できる会社の減少が予想できます。

基準を満たすことが出来ない会社は、規模拡大まで上場時期を先延ばしするか、東京プロマーケット(以下、TPM)、地方の取引所や地方取引所のプロマーケット市場を視野に入れる動きが出てきそうです。また、別の思考としては、M&Aも検討の一つになるでしょう。

 

大手証券会社は新規上場企業の対象を、時価総額の想定で200億円とも500億円規模とも言われる程絞り込んでおり、案件数が大きく減ることから、M&Aや大型企業の支援を幅広く、専門的に充実することに重点を変化させ、組織を柔軟に変化させてきています。

一昔前の証券会社の組織は、案件発掘の営業部隊、公開引受部と審査部と言う分かりやすいものでしたが、現在は補完するための関連部署が増え、さらに、新たに従来の部署の名称変更などをしています。それに伴い、営業部隊や公開引受部の部員数を減らし、ファンド案件対応窓口の部隊を増やすなど工夫をしてきています。

証券会社毎に特徴的な体制が構築されるようになってきました。

 

東京証券取引所はグロース市場とTPMの勧誘を強化し、各地方の取引所も同様に今まで以上に勧誘に力を入れています。

大手証券会社が大型案件に絞り始めたことから、中小証券会社は対象から漏れた上場希望会社を地方の取引所に上場すべく、地方の取引所と連携を深めています。

新規上場希望会社は、業績動向を踏まえ、証券会社の選定や上場時期と目指すべき市場を、今まで以上に慎重な検討が重要になって来ました。

 

PEファンドについては外資の多額の資金が入ってきており、対象となる会社が大型化してきているようです。案件数は少ないようですが、大手証券会社が案件獲得や支援を充実するために人員数を増やすようになると思われます。また、これらの対象企業は上場基準の影響はそれ程ないものと思います。

一方、VCについてはグロース市場の基準強化により、出口戦略が狭まったことから、TPMや地方の取引所も視野に入れて検討することが多くなるのではないかと思います。また、償還期限を考慮する必要があるため、出口のバックアップの一つとしてセカンダリー市場の存在の重要性が増してきています。換金しやすいセカンダリー市場が整備されることにより、新たなファンド設立の環境が整い、スタートアップ企業に成長資金が流れることにより、経済が活性化することに期待したいと思います。

 

鈴木

 

IPO状況6月12日現在

2026年IPO数(予定含む)=18社

【1社】*

2025年IPO数(通期)=66社

市場別 2026年
(予定含む)
2025年
(通期)
プライム 0 7
スタンダード 6 12
グロース 12【1】 41
メイン-名 1 1
ネクスト-名 0 3
アンビシャス 0 1
Qボード 0 1
合計 19【1】*
66

複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。また、【 】は、S-1方式による上場承認前の社数であり外数で記載しています。 

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過年度のIPO状況

2025IPO=66

 

市場別

2025

(通期)

2024

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-

ネクスト-

アンビシャス

Qボード

7

12

41

1

3

1

1

4

13

64

1

4

1

3

合計

66

90

複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

2024IPO(通期)=86* 

 

市場別

2024

(通期)

2023

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-

札幌本則

ネクスト-

アンビシャス

Qボード

4

13

64

1

0

4

1

3

2

23

66

5

1

1

0

1

合計

90

99

複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

 

2023IPO数(通期)=96* 

 

市場別

2023

(通期)

2022

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-

札幌本則

ネクスト-

アンビシャス

Qボード

2

23

66

5

1

1

0

1

3※1

142

703

2

0

2

1

0

合計

99

92

複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

 

2022IPO(通期)91  

 

市場別

2022

(通期)

2021

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

東証2

マザーズ

JASDAQ

メイン-

名証2

ネクスト-

セントレックス

アンビシャス

Qボード

2

10

60

1

3

10

1

2

0

2

0

1

0

6

8

93

16

3

1

3

合計

92

130

複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。