IPOの公表時(承認時)に、中長期保有を確約している投資家に株式の割当を行う予定を開示する制度を「コーナーストーン投資家制度」と呼び、株式の割当対象として開示される投資家を「コーナーストーン投資家」といいます。
コーナーストーン制度は香港証券取引所等で制度化されています。
(注)IPO時の有価証券届出書及び目論見書に、割当予定投資家の概要及び購入予定金額等が開示されます。
コーナーストーン投資家は、株式の割当を受ける条件として中長期保有を確約する必要があることから、価格算定能力の高い投資家であることが想定されています。
価格算定能力の高いコーナーストーン投資家が当該発行者の株主として参画する予定であることが開示されることにより、当該オファリングに対する市場の信頼性の向上に資することや、実際にコーナーストーン投資家が株主として参画することにより、当該発行者のコーポレートガバナンス向上や企業価値(コーナーストーン投資家の参画により当該発行者の信用力の向上などのアナウンスメント効果が生じることを含む)に資することが期待されます。(「親引けガイドライン」の改正に係るQ&A Q5)
(親引けとの関係)
「親引け」とは、株券等の募集又は売出しの引受等を行う者(引受証券会社)が、発行会社が指定する先へ株券等の売付けを行うことをいいます。(株券等の募集等の引受け等に係る顧客への配分等に関する規則(以下「規則」。)第2条第2項)
新規上場時の公募・売出の場合も含め、親引けは原則として禁止されています。
日本証券業協会の「親引けガイドライン」には、例外的に親引けが認められるケースとして
・ 業務提携の関係にある株主がその持株比率を維持するため又は当該関係を形成しようとする者が一定の株式を保有するために必要な場合
・ 株券の募集又は売出しの場合で、当該募集及び売出しに係る株式数の10%を限度として持株会等を対象とするとき
などが例示されていますが、2022年7月の「親引けガイドライン」改正時に以下の項目が追加されました。
・ 発行者のコーポレートガバナンス向上又は企業価値の向上(発行者の信用力の向上によるものを含む。)に資する機関投資家等に配分する場合 |
この項目は、「コーナーストーン投資家制度」を参考に新設されたもので、項目中の「発行者のコーポレートガバナンス向上又は企業価値の向上に資する機関投資家等」には、「コーナーストーン投資家」を含むとされています。
関連項目:親引け