最近、書籍「HARD THINGS」を読みました。
(日本語版が発売されたのは1年以上前で、当時からかなり話題になっていたため、今更
ではありますが・・・)
著者のベン・ホロウィッツ氏は、IT系のベンチャー企業2社の経営者として、会社の創業から成長、IPO、他社への会社売却など様々な経験をし、その後現在はVCのパートナーを務めている方です。
タイトルの「HARD THINGS」とは、日本語に訳すると「多くの困難」といったところでしょうか。成功した事例や自身の成功体験をもとに経営者が経営ノウハウを解説している書籍は世の中に一定数存在しますが、本書はそれとは全く逆で、前半ではホロウィッツ氏が自らベンチャー企業の経営を行ってきた中で体験した苦難や失敗、修羅場の連続が事実として生々しく描かれています。
ITバブルの崩壊、自社の株価の大幅下落、資金ショート懸念、主要取引先の倒産、従業員の解雇・・・次から次へと新たな困難が発生し、息つく暇もありません。
IPO支援を行っているものとして、日常でIPO準備に入っている会社と接していますが、そもそも会社を創業してからIPOできるレベル(IPOの準備に入れるレベル)まで会社や事業を成長させることがいかに大変なことなのかを、改めて感じさせられました。
また、本書の後半ではこれらの体験からホロウィッツ氏が得た経営におけるノウハウや問題が生じた際の考え方が記載されています。この内容は、起業家・経営者の方は勿論のこと、IPO準備に関与されている方々にも参考になるものだと思います。
IPO準備も、数年の準備期間の間において予期せぬトラブルが発生することが多く、当初の予定通りに順調に進むことは稀なプロジェクトだと言えます。生きるか死ぬかと言ったレベルではないにしても、「多くの困難」に対峙し、そしてそれを乗り越えていかないといけないという点では同じです。
経営チームの組成、幹部の採用、組織の構築、組織の運営、目標設定の方法など、色々なテーマでの課題に対する考え方が記載されていることから、IPO準備に携わる方々にも一読をお勧めしたい本です。
夏休みの読書にいかがでしょうか。
(関口)