【関口】エフオーアイ事件の判決文

昨年12月に東京地裁で株式会社エフオーアイの粉飾決算に関する判決が行われ、主幹事証券の損害賠償責任などが認められたことは、以前、鈴木のブログでも触れました(その後、双方とも控訴をしています)。

 

当時ニュースでも報道されたため事件や判決の概要は知っていましたが、詳細については把握していなかったため、時間をかけて判決文を読んでみました。

今回判決文を詳細に読んで初めて知ったことは、エフオーアイ社の監査役にも損害賠償責任が認められたことと、その理由についてです。

 

東京地裁の判決では、エフオーアイ社の当時の常勤監査役や当時の非常勤監査役(2名)の責任も認定されています。

ただ、その判決文には「監査役はいずれも、エフオーアイによる粉飾を認識していなかったものと認められる」「監査役は有価証券届出書の虚偽記載を知らなかったものと認められる」旨の記載があり、監査役は粉飾や虚偽記載の事実は知らなかったとされています。

 

それでは何故、粉飾や虚偽記載の事実を知らなかった監査役の責任が認められたのでしょうか?

 

判決の中では「監査役らが、相当な注意を用いたにもかかわらず届出書の虚偽記載を知ることができなかったと認められるかどうか」という観点で検討が行われています。そして検討の結果、「相当な注意を用いて監査を行っていたとは認められず、責任を免れることはできない」との結論になっています。

 

具体的には、

①常勤監査役は当時、週に2日程度しか出勤しておらず(!)、ほぼ毎週開催されていた社内の重要な会議体である戦略会議にも出席していなかったことなどから、日常の業務監査が十分であったとは言い難いこと。

②非常勤監査役(2名)は、上記の常勤監査役の活動を是正するための対応・措置を取っていないこと。

 

などが挙げられており、これらにより常勤監査役及び非常勤監査役の「職務の遂行が十分なものであったとは言い難い」とされています。

(証券会社の審査の過程では、常勤監査役は毎日出勤し戦略会議にも出席しているとの回答をしていたようで、上場審査で虚偽の回答をしていた点でも問題はあります)

 

常勤監査役の「常勤」とはどの程度を指すのか?という議論は昔からありますが、少なくとも週2日程度の出勤では常勤監査役の職務遂行として不十分であるということが明示されました。また、常勤ではない非常勤監査役にも、最低限の是正措置・是正活動は要求されていることが分かります。

 

IPOの準備期間においては「IPOを果たして上場会社となった後は役員の責任が特に重くなる」という話がされることが多いため、ややもすると未上場の時にはそれほど責任が重くないかのような誤解を持つ方もいますが、上場準備期間においても取締役・監査役としての責任は十分に問われることが良く分かります。取締役は勿論のこと、常勤監査役や非常勤監査役に就任するのであれば、未上場の段階から職務の遂行が十分であったと言える仕事をする必要がありますし、就任にあたっての覚悟も必要になると思います。

 

 

関口

2024IPO社数(予定を含む)=26*

2023IPO社数(通期)=96*

 

3月22日現在

市場別

2024

(含予定)

2023

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

0

3

23

0

0

1

0

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 0 1

合計

   27

99

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2023IPO社数(通期)=96*

2022IPO社数(通期)=91*

 

市場別

2023

2022

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

2022IPO社数=91

2021年IPO社数=125社

 

市場別

2022

 

2021

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

3

合計

92

130

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