先日、書籍「1兆ドルコーチ」を読みました。
新型コロナウイルスの影響により世界の株式市場は一時大きく下落し、日経平均は現在も年始の水準には戻っていません。そんな環境下でも米国のナスダック総合指数は絶好調で、史上最高値を更新し続けています。このナスダックの中心にいるのはGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)で、現在の世界経済を牽引している企業群です。
同書はAmazonのジェフ・ベゾス、Appleのスティーブ・ジョブズ、Googleのラリー・ペイジといった経営者のコーチを務め、現在のGAFAに大きな影響を与えた伝説のコーチ、「ビル・キャンベル」氏の実際のコーチングの内容や方法をまとめた書籍です。「1兆ドルコーチ」というタイトルは、ビル氏がコーチをした企業の現在の時価総額などから、その功績は1兆ドルに匹敵するということから付けられたものです。
錚々たる経営者に対するコーチングと聞くと特別で難解な内容を想像しがちですが、本書に出てくる内容は意識すれば日常でも取り入れられる内容が多いです。
例えば、
・人がすべて
マネージャーの最優先課題は部下の幸せと成功
・「旅の報告」から始める
チームメンバーの連帯感を生みだすため、旅の報告など仕事以外のプライベートな話題からミーティングを始める
・「完全な率直さ」を身につける
フィードバックは徹底的に正直で率直に、できるかぎり早く。ネガティブなフィードバックは人目のないところで
・エレベータートーク
エレベーターで乗り合わせた人に雑談で話しかける
・人を助けよ
時間や人脈などの資源を、人のために惜しみなく使う
といった内容です。
ここでは詳細な内容までは記載できませんが、全てビル氏の実際のエピソードを交えて描かれているため、それぞれの項目について具体的にどのような行動を取ればよいかもイメージできるようになっています。
全体を通じて特に印象に残ったことは、「人への愛を持つことが大事」という点でした。GAFAのようなIT企業と聞くと、機械的(デジタル重視)、ドライ、人間関係が希薄・・・などといった勝手なイメージを持ちがちですが、職場や人への愛こそが重要であり、実際にはかなりアナログなことを重視した経営をしているということです。そして、そういったことを大事にしている企業群が実際に成功して世界経済を牽引しているという事実は、とても興味深いところでした。
本書には「優れた成果を残すためにはチームの力が必要。そして有能なマネージャーやリーダーになるためには、有能なコーチになる必要がある」という記述もあります。コーチング能力が必要となる色々な立場の方にとって、参考になる点が多い書籍だと思います。
(関口)