使用権資産とは、2024年9月に公表された「リースに関する会計基準」(以下「新基準」)で新たに定義された用語で、「借手が原資産をリース期間にわたり使用する権利を表する資産」をいいます。
(注1)新基準は、2027年4月1日以降に開始する決算から適用されます。(早期適用も認められています)
(注2)新基準はIFRS第16号「リース」の主な定めと整合するものですが、日本独自の取り扱いも存在することから留意が必要です。
・新基準では、「すべてのリースを使用権の取得として捉えて使用権資産を貸借対照表に計上するとともに、借手のリースの費用配分の方法については、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルによる」こととしています。
そのため借手側では、従来オペレーティング・リース取引としてオフバランス処理していた取引についても、いったん使用権資産およびリース負債を貸借対照表に計上したうえで、減価償却と利息相当額の計上による方法で費用配分を行うことになる点に注意が必要です。
・新基準の下では、たとえば以下の点に注意が必要となります。
①新基準の「リース」の定義と従来の「リース取引」の定義に差があり、従来はリース取引として処理されなかった取引(不動産やレンタル等の賃貸取引を含む)が「リース」に該当する場合がある。
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新基準 |
従来の基準 |
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リースの定義 「リース」とは、原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分をいう。 |
リース取引の定義 「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対し、合意された期間(「リース期間」)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(「リース料」)を貸手に支払う取引をいう。 |
②新基準と旧基準で(借手の)リース期間の定義に差がある。
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新基準 |
従来の基準 |
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借手のリース期間 ・借手は、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、次の①及び②の両方の期間を加えて決定する。 (1)借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間 (2)借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間 ※借手のみがリースを解約する権利を有している場合、当該権利は借手が利用可能なオプションとして、借手のリース期間を決定するにあたってこれを考慮する。 ※貸手のみがリースを解約する権利を有している場合、当該期間は、借手の解約不能期間に含まれる。 |
リース期間 ・合意された期間。 ・借手の再リースを行う意思が明らかな場合を除き、再リース期間は解約不能のリース期間に含めない。 |
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経済的インセンティブを生じさせる要因の例示 借手が延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかを判定するにあたって、例えば、以下の例示の経済的インセンティブを生じさせる要因を考慮することとされている。 (例示) ① 延長オプション又は解約オプションの対象期間に係る契約条件(リース料、違約金、残価保証、購入オプションなど) ② 大幅な賃借設備の改良の有無 ③ リースの解約に関連して生じるコスト ④ 企業の事業内容に照らした原資産の重要性 ⑤ 延長オプション又は解約オプションの行使条件 |
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③契約条件変更やリース期間等の見直しにより、リース負債計上額の見直しが必要になる場合あり。
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新基準 |
従来の基準 |
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リース負債額の見直し ・リースの契約条件の変更や契約条件の変更を伴わないリース料の変更・リース期間の変更がある場合には、借手は、適宜、リース負債の計上額の見直しを行う。 |
見直しに関する規定なし。 |
④短期リース・少額リースに関する簡便的な取り扱い
A)短期リースに関する簡便的な取扱い
リース会計基準等では、現行と同様に、借手は、短期リース(リース開始日において、借手のリース期間が12カ月以内であり、購入オプションを含まないリース)について、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することができるとされています。
B)少額リースに関する簡便的な取扱い
リース会計基準等では、以下のいずれかを満たす場合について、借手は、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することを認めるとされています。
ア)重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、借手のリース料が当該基準額以下のリース
イ)次のいずれかを満たすリース
・ 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、かつ、リース契約1件当たりの金額に重要性が乏しい(借手のリース料が300万円以下)リース
・ 新品時の原資産の価値が少額である(新品時に5千米ドル以下程度)リース