「内部者取引(インサイダー取引)」とは、会社の内部者情報に接する立場にある会社役員等が、その特別な立場を利用して会社の重要な内部情報を知り、情報が公表される前にこの会社の株を売買することをいいます。
このような取引が行われると、一般の投資家との不公平が生じ、証券市場の公正性・健全性が損なわれるおそれがあるため、金融商品取引法において規制(禁止)されています。(金融商品取引法 第166条第1項)
株式上場にあたっては、上場前にインサイダー取引を防止する社内体制の構築が求められます。 具体的には、インサイダー取引防止規程の制定や、社内研修(勉強会)の開催などを行います。
(インサイダー取引に係る上場審査)
取引所は、証券市場の公正性や健全性を維持するために、インサイダー取引防止を非常に重要な事項と考えています。
取引所はⅡの部等の申請書類において、上場申請会社のインサイダー取引防止のための体制整備、今後の方針等について記載を求めています。
また、申請会社の役員等は審査期間中に、内部者取引等の防止などをテーマとしたeラーニングを受講する必要があります。
(参考) Ⅱの部等でのインサイダー取引等防止に関する記載事項
・金融商品取引法第166条第1項に規定する「業務等に関する重要事実」等の管理体制
・インサイダー取引及び情報伝達・取引推奨行為の防止策(情報管理、自社株取引規制及び手続等)
・最近1年間及び申請事業年度におけるインサイダー取引等防止のための説明会・研修の実施状況及び今後の方針
(企業行動規範)
取引所は、取引所の定める「企業行動規範」の中で、上場会社の「遵守すべき事項」として「内部者取引の禁止」を、「望まれる事項」として「内部者取引の未然防止に向けた体制整備」を求めています。
関連項目:重要事実、主要株主、バスケット条項、フェア・ディスクロージャー・ルール