期越え上場とは、上場日が上場申請事業年度の翌事業年度となる上場(日程)のことをいいます。
上場審査項目には決算数値に係るものが多いため、上場に係る日程は会社の事業年度(決算期)を単位に設定されます。
例えば取引所への正式な上場申請は、基準事業年度に係る定時株主総会終了後に、確定した決算数値等を申請書類に反映させた後に行われます。
また、上場日については、上場申請事業年度内に上場するのが一般的であると考えられています。
その一方で、審査日程の柔軟化や上場時期の分散化という要請から、実際の上場のタイムリミットは上場申請事業年度の決算数値が確定する定時株主総会までとされています。
そのため、上場申請事業年度の翌事業年度の上場(日程)のことを、特に「期越え上場」と呼びます。
(例)2023年3月期を基準事業年度とする場合、上場のタイムリミットは2024年3月期(上場申請事業年度)に係る定時株主総会までです。
(ただし、上場申請事業年度に係る定時株主総会後であっても、上場申請日から1年の間は、改めて上場申請を行わず、基準事業年度を変えて上場審査を継続することは可能です。)
期越え上場の場合には、取引所の審査において1年分更新された中期計画や新年度の利益計画の提出等、年度替わりに伴う追加の手続きが発生します。
(内部統制報告制度(J-SOX)の適用対象となる時期について)
上場申請事業年度中に上場した場合は、上場後最初に提出する有価証券報告書(上場申請事業年度に係る有価証券報告書)とあわせて内部統制報告書の提出が必要となりますが、期越え上場の場合、内部統制報告書の提出が必要となるのは、上場申請事業年度の翌事業年度に係る有価証券報告書の提出時からとなります。
また、内部統制報告書には、公認会計士または監査法人の監査証明を受けなければなりませんが、上場日から3年を経過するまでは、監査証明を受けなくてもよいとされています。(金融商品取引法 第193条の2 第2項 第4号)(注1)(注2)
(注1)上場日の属する事業年度の直前事業年度末(基準事業年度末)の資本金が100億円以上、または、負債合計が1,000億円以上である場合を除く(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令 第10条の2)
(注2)期越え上場の場合は、上場日の属する事業年度開始日から3ヶ月を経過した日から3年(金融商品取引法施行令 第三十五条の三)
関連項目:証券会社審査と取引所審査