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【古川】IR体制の整備義務化

先日、新聞紙上で「IR部署・担当者、東証が上場企業に義務付け 違反は罰則」との記事を目にしました(2025年4月9日 日本経済新聞)。この記事が出た後にクライアントの担当者から、「選任のIR担当役員の設置が必要となるのか?」「IRの専門部署の設置が必要となるのか?」「新たなIR資料の作成が必要となるのか?」等の質問が寄せられましたが、この件については2025年4月30日に、東京証券取引所より「IR体制の整備義務化に係る対応・留意点」が公表されています。

 

発表された資料によれば、東京証券取引所は、上場企業に対し、株主や投資者との関係構築を目的とした情報提供体制(IR体制)の整備を義務付ける方針です(2025年7月予定)。これは、資本コストや株価を意識した経営を促進し、多くの上場会社に積極的なIR活動を通じて企業価値向上に取り組んでもらうことを目的としています。

 

「IR体制の整備義務化に係る対応・留意点」によれば、上場企業が対応すべき事項の概要は以下のとおりです。

・自社に必要なIR体制について検討・整備

・投資者の期待も踏まえ更なるIR体制の充実やIR活動の実施についても検討

・CG報告書の「IRに関する部署(担当者)の設置」の補足説明欄に、自社のIR体制について記載

・IR体制が全く整備されていない場合は、公表措置等の実効性確保措置の対象となる場合がある

 

上場準備会社においては、IR担当役員やIR専門の部署の設置は無いものの、業務分掌規程等により、IRを担当する部門が規定(管理部や経営企画部等)され、IR体制の整備を行っているケースがほとんどかと思いますので、上場準備において特別な対応は必要ないものと思われます。

一方で「投資者からは、IRに特化した専門部署を設けるなど、充実したIRを⾏うための体制の整備を期待する声も寄せられております」「今回の改正は、IR活動の実施を義務付けるものではございませんが、投資者からの期待を踏まえ、具体的なIR活動(例えば、説明会の開催などによる能動的な情報提供や、個別⾯談による双方向の対話等)に積極的に取り組むことが、投資者と信頼関係を構築していくうえでは重要です」との記載もあるため、IR活動に関する会社としての取組方針やあるべき体制については検討しておくことが重要と思われます。

 

なお2025年6月に、東京証券取引所にてIR体制やIR活動に関する投資者の声を取りまとめ、紹介する予定とのことです。

 

 

古川

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