2013年もいよいよ残りわずかとなってまいりました。
今年の暦年ベースでのIPOは54社、東京プロマーケット銘柄を入れた新規上場銘柄数としては58社(昨年より10社増)となりました。
見事上場を果たされた方々、おめでとうございます。
ところで、これらの上場会社はすべて監査法人からの監査報告書の交付を受けて上場しています。では、株式上場時には監査報告書はどれだけ必要か、皆さんご存知でしょうか?
まず、上場申請時に取引所に提出する申請Ⅰの部に関して、直前々期と直前期の2期分の監査報告書が必要となります。
次に、上場承認日の新株発行決議の際に財務局(EDINET)に提出する有価証券届出書に関して、やはり直前々期と直前期の2期分の監査報告書が必要となります。なお、上場承認時には、取引所での公衆縦覧用に申請Ⅰの部に関しても改めて2期分の監査報告書が交付されるケースが多いようです。
上記は、それぞれ連結財務諸表を作成している会社の場合は連結財務諸表と単体財務諸表に対してそれぞれの監査報告書が必要となります。
これだけではありません。申請期の四半期財務諸表に関するレビュー報告書も必要となります。なお、四半期財務諸表は、連結財務諸表を作成している会社の場合、単体分は不要です。また、上場する時期によって四半期レビュー報告書の数は変わってきます。第2四半期のタイミングで上場する場合には申請四半期報告書に関して、第1四半期のレビュー報告書のみとなりますが、上場承認時に第2四半期の四半期財務諸表のレビューが終了していれば有価証券届出書に組み込まれるのは第2四半期財務諸表のため第2四半期のレビュー報告書が必要となります。同時に、取引所に対しても第2四半期の申請四半期報告書を提出することになりますので、取引所には第1四半期財務諸表と第2四半期財務諸表に対するそれぞれのレビュー報告書も必要となります。上場時期が第3四半期以降の場合には、取引所へはそれぞれの申請四半期報告書毎にレビュー報告書が必要になる一方で、財務局に提出する有価証券届出書では最新の四半期財務諸表のみが組み込まれるためレビュー報告書は直近四半期分の1枚のみとなります。
いかがでしょうか。ざっと通算して10以上、連結作成会社の場合は16以上の数の監査報告書(レビュー報告書を含みます)が必要となります。
上場申請時点では実質の監査は終わっているはずなのに何故こんなに監査報告書が必要なのでしょうか。それは監査が決算の内容だけでなく、開示される決算の表示内容も監査対象に含まれているため、監査報告日付が変わることにより後発事象の有無に関する監査も影響しているためだと思います。
上場する際には、会社さんも大変ですが、監査報告書を発行するにあたり、それぞれの書面をチェックする監査法人さんも大変です。
この辺り、なかなか分かりにくい世界ですがご参考まで。
(追記)本テーマの内容はこちらでアップデートしております。
(加藤)